いきもの日記【7】”チョウ”になるか、”ガ”になるか
外出中の昼休み。
外にいても、いきもののことを考えてしまう。
「食事は足りているだろうか」
「部屋は暑くないだろうか」
今日も元気に過ごしてほしいと考える私は、
まるでいきもののお母さんだ。
数日前、このいきものが将来どんな姿になるかGoogleで検索してみた。
今より小さかったいきものの姿と写真を見比べ、これは【オオスカシバ】というガの幼虫かもしれないと思った。
チョウではない。
ガである。
モスラである。
ちょっと引いてしまった。
大人になったら可愛いチョウチョになると思っていたのに、
もしかすると見た目がグロテスクなガになるかもしれない。
(未だ予想である)
これは、私の嫌いな【ガ】の幼虫かもしれない、
と考えると、
ちょっと身構えた。
でも、同時にこうも思った。
「かわいい幼虫として大切に育てたいきものなら、
グロテスクなガになっても、
もしかするとかわいいのかもしれない」と。
可愛い
と
グロテスク。
相反する言葉だけれど、イメージの先の個体は同じ。
このいきものの大人になったときの姿。
私の好きな本、星の王子さまには、こんな一説がある。
【きみのバラが、きみにとってかけがえのないものになったのは、きみがバラのために費やした時間のためなんだ】
王子さまは自分の星にある1本のバラを唯一のものと思って世話していたが、実は地球にはたくさんのバラがあった。自分のバラは特別でもなんでもなかった。
でも、キツネに出会って分かった。
普通の人にとっては全て同じバラでも、自分が大切にしてきたバラは、かけがえのないものなんだと。
私のいきものは、
一般的にグロテスクな外見であり、どこにでもいるイモムシかもしれない。
でも、
小さいうちから成長を見守り、
食事となるガーベラを求めて3件の店をはしごし、
周りに散らばったうん◯を掃除し、
毎朝顔を洗うより先に姿を確認するような
大切ないきもの。
だから、
他のいきものとは違う、
たった1匹の【私のいきもの】であり、美しいのである。
Google検索によると、自然界のモンシロチョウが卵から成虫になるのは2パーセント。
100個の卵があっても、2匹しか大人になれない。
このいきものは、大人になれるのだろうか。
私は
今日も"いきものの食費"を稼ぎながら、
休憩中にはこんなことを考えている。